ウェイフルックとヘロイン・シック

90年代中頃は、トレンドがグラマラス志向から真逆の方向に向かい始めます。

きっかけは、1993年に、カルバン・クラインの広告にあまりに華奢なモデルが半裸状態で登場したことです。

この広告写真は大きな反響を呼び、同時に受け入れられ、グラマラスな時代が終わりを告げました。

この時のモデルが、ケイト・モスです。

彼女が代表するような骨格が飛び出た細い体つき、また顔色が悪く、病的にさえ見えるルックスのことを、「ヘロイン・シック」と呼ぶようになりました。

そして、ケイト・モスとヘロイン・シックこそが、次世代ファッションのキーワードになったのです。

ヘロイン・シックな女性は、同時にウェイフ・ルックを好みました。

「ウェイフ」とは元々「浮浪者」のような意味を持っていましたが、90年代には完全にファッション用語として定着し、主に女性を指す言葉になりました。

「ウェイフ」と「ヘロイン・シック」に共通して言えるのは、健康的で清潔感のあるスタイルとは正反対である、ということです。

勿論、シンディ・クロフォードに代表されるグラマラス・ボディとも無縁です。

ウェイフ・ルックが台頭してくると、ファッションそのものも、どことなくだらしなくなりました。

健康的ではないこの流行に対して危惧する人は多く、当時のクリントン大統領も「アンチ・ヘロインシック」を表明しなくてはならないなど、社会問題も同時に起こしました。

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