近代ファッションの起源
近代ファッションというものが生まれるまで、人々には「ファッション」という概念が殆どありませんでした。
一部の裕福層がお抱えの仕立て屋にドレスを注文して作らせる、という状態だったので、仕立て屋はいてもデザイナーすらいなかったのです。
そこに初めて登場したファッションデザイナーが、フレデリック・ウォルトというイギリス人です。
フランスで生活していた彼は、予め自分で用意した洋服の見本を顧客たちに披露して、注文を取るという方法を思いつきました。
この方法が反響を呼び、後に多くのデザイナーを生み出すことになります。
女性のファッションを近代化させたのは、ポール・ポワレというフランス人デザイナーです。
ウォルトの元で働いていた彼は、それまで女性が具合を悪くしても着用を続けていたコルセットというものをなくし、女性を縛り付けないスタイルを確立したのです。
このことが、女性の衣類に快適さを求める原点となり、フランスでは、シャネルがより機能性を重視した衣服作成に尽力するようになります。
しかし、ここまでの流れは、全てフランスやその近隣で起こったものです。
アメリカでは、フランスからファッションのスタイルを輸入していて、まだ独自の「アメリカンスタイル」というものを持っていませんでした。
しかし、大規模な世界大戦(第一次・第二次大戦)が、アメリカンファッションの確立に大きな役割を果たすことになります。